解体工事のアスベスト事前調査|床面積80㎡以上は報告義務、調査は規模を問わず必要です
最終更新:2026-08-31
結論:解体工事は、規模を問わず事前調査が必要です。そのうえで解体部分の床面積が80㎡以上なら、着工前に行政への報告も必要になります。解体は撤去する建材の量が多いぶん、調査の有無が処分費に直結します。
解体工事は、アスベスト事前調査が最も分かりやすく必要になる分野です。 それでも「小さい建物だから」「木造だから」と省かれてしまうことがあります。
調査と報告、2つのラインを分けて考える
| 必要になる条件 | |
|---|---|
| 事前調査 | 規模の下限なし。すべての解体工事で必要 |
| 行政への報告 | 解体部分の床面積の合計が80㎡以上(着工前に電子システムで) |
80㎡は「解体する部分の合計」です。建物全体ではなく、実際に壊す範囲で判断します。 部分解体でも合計が80㎡を超えれば報告対象になります。
この2つの違いはアスベスト調査は義務?で詳しく整理しています。
解体で問題になるのは「レベル1」から
レベル別に、見つかった後どれだけ工期と費用が変わるかは調査で石綿が見つかったら、そこから何が起きるかで詳しく整理しています。レベル1・2は届出だけで14日必要なので、解体の工程を組む前に読んでおいてください。
石綿含有建材は、飛散のしやすさで3段階に分けて扱われます。 解体工事では、この判定が工事の方法と費用を大きく左右します。
| 主な建材 | 解体時の扱い | |
|---|---|---|
| レベル1 | 吹付材 | 最も飛散しやすい。隔離・負圧など厳重な措置。届出が必要 |
| レベル2 | 保温材・耐火被覆材・断熱材 | 飛散性あり。措置が必要。届出が必要な場合がある |
| レベル3 | 成形板(石膏ボード・スレート・Pタイル等) | 飛散性は低いが、処分は石綿含有廃棄物として扱う |
工場・倉庫の解体では屋根が面積の大半を占めます。波形スレート(レベル3)か金属折板(裏の断熱材がレベル2)かで処分費も工期も変わるので、スレート屋根・折板屋根の改修とアスベスト調査もあわせてご覧ください。
解体こそ「調査した方が安い」が効きます
調査をせずに「含有しているものとみなす」進め方は制度上あり得ます。 ただし解体工事では、この選択の代償が他のどの工事よりも大きくなります。
理由は単純で、撤去する建材の量が桁違いに多いからです。 石膏ボードは石綿含有として処分すると通常の倍前後になることがあります。 内装の一部だけなら数万円の差でも、建物1棟なら数十万円〜の差になります。
数万円の調査費を惜しんで、処分費で数十万円多く払っていた——解体では特に起きやすい失敗です。 逆に、分析で「入っていない」と証明できれば、通常の廃棄物として処分できます。
みなしで進めるべきかどうかの判断は工事直前に忘れていた時の3つの手でも整理しています。
現場事務所や仮設倉庫などのプレハブの解体・移設も対象です。工事は数日で終わるのに分析に中5営業日かかるため、逆転しやすい分野です(プレハブ・仮設建物の解体)。
古い建物でも「入っていない」ことはあります
石綿含有建材は2006年に製造・使用が全面的に禁止されました。それ以前の建物は疑うのが基本ですが、
- 過去の改修で建材が入れ替わっていて、入っていないケース
- 逆に、増改築を重ねていて部分的に古い建材が残っているケース
どちらも実際にあります。図面や登記の年だけでは判断しきれません。 「入っていませんでした」という第三者機関の報告書が出れば、処分費も工法も通常どおりで進められます。
建物を残したまま補強する耐震改修も、躯体を出すために仕上げを剥がすので対象です。鉄骨造では柱・梁の耐火被覆がレベル1・2にあたることがあります(耐震補強工事とアスベスト調査)。
解体は工程が動かしにくい
足場、重機の手配、近隣への説明、廃棄物の搬出計画——解体は関係者が多く、日程を動かすと連鎖します。
現地での採取作業は1時間もかかりませんが、分析機関の結果は中5営業日ほどかかります。 さらに報告対象の規模なら、分析結果が出ないと報告内容が固まらず、着工できません。
つまり解体工事では、分析の中5営業日が実質的な着工の締切になります。 見積もり段階でご相談いただければ、調査費を織り込んだうえで工程も組めます。 日数の内訳は事前調査は何日かかるかをご覧ください。
調査のあとも義務が続きます
- 掲示:調査結果を作業場所の見やすい場所に掲示(JIS A3判以上)
- 記録の保存:調査記録を3年間保存し、作業場所に備え付け
「調査はやったが書類が残っていない」状態は、やっていないのとほぼ同じ扱いになります。 報告書は記録として残せる形でお渡しし、資格を証明する書類の写しも添えます。
解体業者さまへ
「この解体は報告まで要るのか」「工程に間に合うか」の判断だけなら費用はかかりません。 建物の用途・築年・解体範囲と床面積・着工予定日を教えていただければ、その場でお答えします。