スレート屋根・折板屋根の改修とアスベスト調査|カバー工法でも穴を開けるなら対象です
最終更新:2026-08-31
結論:波形スレートは石綿を含んでいる前提で考えてください。レベル3なので工期への影響は限定的ですが、面積が大きいぶん処分費が効いてきます。そしてカバー工法でも、ビス穴を開ける・端部を切断するなら対象です。
工場・倉庫・作業場の屋根は、波形スレートか金属折板のどちらかであることがほとんどです。 どちらも改修・葺き替えの際に事前調査が必要になりますが、注意すべき点がまったく違います。
波形スレート——含んでいる前提で考える
波形スレート(大波・小波)は、石綿含有建材のなかで最も広く使われたもののひとつです。 石綿の製造・使用が全面禁止されたのは2006年。それ以前の建物であれば、 入っている可能性は高いと考えるのが実務です。
| 確認する箇所 | 備考 |
|---|---|
| スレート本体 | レベル3。飛散性は低いが、切断・破砕すると飛散する |
| 棟包み・ケラバ・軒先の役物 | 本体と材質が違うことがあるため、別に確認が必要 |
| シーリング・パッキン | ボルトまわりの止水材、重ね部のシール材 |
| 天窓・採光板まわりの取り合い | 納まり部に別の建材が使われていることがある |
スレートはレベル3です。計画届の対象ではないため、 工期が2週間飛ぶような話にはなりません。 ただし湿潤化・作業主任者の選任・掲示といった措置は必要で、 何より面積が大きいぶん処分費が効いてきます。
金属折板屋根——裏側の断熱材に注意
折板そのものは鉄板なので石綿とは無縁です。問題は裏側に貼られた断熱材。 屋根用折板石綿断熱材はレベル2で、含有率が90%に達するものがあります。 外からは見えず、建物の中に入って見上げないと分かりません。 1990年頃まで使われていました(断熱材のアスベストは2種類だけ)。
レベル2が出ると、除去には工事開始の14日前までの計画届と、 発注者による大気汚染防止法の届出(作業開始の14日前まで)が必要になります。 スレートとは工期の話が変わるので、折板の場合は裏側の確認を優先してください。
工法ごとの対象範囲
| 工法 | やること | 事前調査 |
|---|---|---|
| 葺き替え | 既存を撤去して新設 | 必要。撤去そのものが解体等にあたる |
| カバー工法 | 既存を残して上に重ねる | 穴を開ける・切断するなら必要(下記) |
| 部分補修・差し替え | 破損部だけ交換 | 必要。規模は関係ありません |
| 塗装のみ | 既存の上から塗る | ケレンで既存塗膜を落とすなら必要 |
「カバー工法だから既存を壊さない=対象外」は危ない考え方です。 新しい屋根材を固定するために既存のスレートにビス穴を開ける、 端部やケラバで既存を切り欠く——これらは穿孔・切断であり、 石綿を含む建材に手を加える作業です。工法名ではなく実際の作業内容で判断してください。
塗装については外壁塗装・塗膜の除去とアスベスト調査もご覧ください。
屋根に太陽光パネルを載せる場合も、架台を固定するために屋根材へ穿孔するので対象です(太陽光パネルの設置・撤去とアスベスト調査)。
面積が大きい案件ほど、調査した方が総額は下がります
屋根は面積が大きいため、「みなし」で全量を石綿含有として処分すると処分費が跳ね上がります。 分析で「入っていない」と出れば、通常の産業廃棄物として処分できます。
古い建物でも、過去の改修で葺き替えられていて入っていないケースは普通にあります。 数千㎡の屋根であれば、調査費と処分費の差額は桁が違います。 「なかったことを証明する」ことに、はっきり金額的な意味がある工事です。
報告が必要かどうか
- 事前調査:規模を問わず必要
- 解体工事:解体部分の床面積80㎡以上なら報告が必要
- 改修工事:請負金額が税込100万円以上なら報告が必要
工場・倉庫の屋根改修でこの金額を下回ることはまずありません。 建物ごと解体する場合は解体工事のアスベスト事前調査もご覧ください。
板金・屋根・解体工事会社さまへ
建物の用途・築年・屋根の種類(波形スレートか金属折板か)・面積・工法・予定日を 教えていただければ、対象範囲と処分の見通しをその場でお答えします。判断だけなら費用はかかりません。
当社は調査を自社で実施します。石綿が出た場合の除去工事は500万円未満なら当社が直接施工し、500万円以上は建設業許可を持つ提携先の株式会社エコ・テックが受注します(現場監督は当社が担当)。産業廃棄物の処分は規模にかかわらずエコ・テックと連携します。 面積の大きい案件ほど、調査から処分まで窓口がひとつである効果が出ます。