特定工作物17種のどこに石綿があるか|設備別の確認箇所と、自社の工事が該当するかの判定
最終更新:2026-08-31
結論:工作物の石綿は「保温材・断熱材・パッキン・絶縁材」の4つに集中します。設備そのものではなく、設備と設備のつなぎ目や、熱・電気を遮っている部分です。ここを知っていれば、自社の工事が対象になるかはその場で判断できます。
令和8年(2026年)1月1日から、工作物の解体・改修工事でも有資格者による事前調査が必要になりました (工作物の事前調査に資格が必要になりました)。 ただ、実務で困るのは資格の話ではなく「うちが触るのは工作物なのか」「どこを見ればいいのか」です。
まず、石綿が使われている場所は4つに集中します
17種の設備を1つずつ覚える必要はありません。石綿が入っているのは、設備の本体ではなく次の4箇所です。
| 箇所 | 何のために入っているか | よくある形 |
|---|---|---|
| 保温材・断熱材 | 熱を逃がさない/伝えない | 配管やタンクに巻いてある、炉の内張り |
| 耐火被覆材 | 火から守る | 吹き付けられている、板状で貼ってある |
| パッキン・ガスケット | 継ぎ目から漏らさない | フランジの間、点検口のふた、蓋の合わせ面 |
| 絶縁材 | 電気を通さない/アークを消す | 盤の中の板、遮断器の台座 |
つまり「熱いところ」「漏れては困るところ」「電気が通るところ」を触る工事なら、 設備の種類にかかわらず疑ってかかるのが正解です。 逆に、外装のパネルを外すだけ、基礎に触るだけ、といった工事なら該当しないことも多くあります。
設備別の確認箇所
熱を扱う設備
反応槽/加熱炉/焼却設備/ボイラー及び圧力容器/貯蔵設備/煙突
- 本体の保温材・断熱材(巻いてあるもの、内張りされているもの)
- マンホール・点検口のパッキン
- フランジ部のガスケット
- 煙道・排気管まわりの断熱材
このうち煙突とボイラー・圧力容器は 煙突・ボイラーまわりのアスベスト調査で詳しく扱っています。
電気を扱う設備
発電設備(太陽光・風力を除く)/変電設備/配電設備/送電設備
- 盤内の絶縁板
- 遮断器のアークシュート(消弧室)、配線用遮断器の台座
- キュービクル本体の断熱材・パッキン
- ケーブル貫通部の充填材
- 非常用発電機の排気管の保温材
詳しくは変電・配電設備の更新工事と事前調査にまとめました。
配管設備(建築設備を除く)
- 配管の保温材
- フランジのパッキン
- 壁・床の貫通部の充填材
配管設備の改修とアスベスト調査で詳しく説明しています。
土木・構造物系
トンネルの天井板/プラットホームの上家/遮音壁/軽量盛土保護パネル/鉄道駅の地下式構造部分の壁及び天井板/観光用エレベーターの昇降路の囲い
- 板材そのもの(成形板)
- 接合部のシール材・充填材
- 吹き付けられた耐火被覆・断熱材
- 表面の塗膜
17種に入っていなくても対象になります
ここが最も見落とされます。特定工作物17種に入っていない工作物であっても、 石綿が使われているおそれのある材料を除去する作業は対象です。 具体的には塗膜の剥離、モルタルの除去、コンクリート補修材の除去。 「17種のリストに無いから関係ない」は誤りです。
塗膜については外壁塗装・塗膜の除去とアスベスト調査をご覧ください。
「建築設備を除く」の線引き
17種のうち配管設備と煙突には「建築設備を除く」という但し書きが付いています。 建築物に設けられた設備は建築物側のルールで、そうでないものが工作物側です。
| 例 | どちら扱いになりやすいか |
|---|---|
| ビルの給排水管、空調のダクト | 建築設備=建築物側 |
| プラントの配管、屋外の連絡配管 | 工作物側 |
| ビルに設けられた煙突 | 建築設備=建築物側 |
| 独立した煙突、工場の煙突 | 工作物側 |
機械室はこの線引きが最も難しい場所です。 建築設備と工作物が同じ部屋に同居していて、図面と現地を突き合わせないと判断できません。 当社の調査者は建築物・工作物の両方の資格を持っていますので、 切り分けの段階からお答えできます。
自社の工事が対象かの判定手順
- 解体または改修にあたるか——既存を壊す・剥がす・撤去する作業があるか
- 上の4箇所(保温材/耐火被覆/パッキン/絶縁材)に触るか
- 触るなら事前調査が必要(規模は問いません)
- 2026年1月1日以降に着工するなら有資格者による調査が必要
規模の大小は関係ありません。「パッキン1枚だけだから」でも調査は必要です。 規模で変わるのは行政への報告の要否(工作物の解体・改修は請負金額が税込100万円以上)であって、 調査の要否ではありません(アスベスト調査は義務?)。
「あった」場合にどうなるか
保温材・耐火被覆材はレベル2にあたります。除去するには 工事開始の14日前までに労働基準監督署へ計画届が必要で、ここが工程を決めます。 設備の停止期間が決まっている工事では、この14日を見込めるかが勝負です。
その先の流れは調査で石綿が見つかったら、そこから何が起きるかにまとめています。
判定だけでもご相談ください
設備の種類・触る箇所・建物の築年・着工予定日を教えていただければ、 「対象かどうか」「報告まで要るか」をその場でお答えします。判断だけなら費用はかかりません。