変電・配電設備の更新工事とアスベスト調査|キュービクル・分電盤の絶縁材が対象です
最終更新:2026-08-31
結論:キュービクルや分電盤の更新工事は、工作物の事前調査の対象です。石綿があるのは電線ではなく盤の中の絶縁材——絶縁板、遮断器のアークシュート、遮断器の台座。停電できる日が決まっている工事ほど、調査は早く回してください。
変電設備・配電設備・送電設備・発電設備は、いずれも特定工作物17種に入っています。 令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事から、有資格者による事前調査が必要です。
電気工事の方から一番多い誤解が「うちは電気屋だから解体じゃない」です。 ですが既存の盤を撤去する作業は「解体等」にあたります。 新設だけなら対象外ですが、更新工事は既存の撤去を伴うため対象です。
石綿があるのは「電気を通さないための部材」です
電線やブスバーに石綿は入っていません。入っているのは電気を遮る側、 つまり絶縁と消弧のための部材です。
| 箇所 | 何のために入っているか |
|---|---|
| 絶縁板(盤内の仕切り板・背板) | 絶縁と、耐火のため |
| アークシュート(消弧室) | 遮断時に出るアークを消すため。高温に耐える必要がある |
| 配線用遮断器の台座 | 絶縁と耐熱 |
| キュービクル本体の断熱材・パッキン | 断熱、扉の気密 |
| ケーブル貫通部の充填材 | 壁・床を貫通する部分の耐火・防火区画 |
| 非常用発電機の排気管の保温材 | 排気の熱を遮るため |
とくにケーブル貫通部の充填材は見落とされます。 盤の更新でケーブルルートを変える場合、この部分を壊すことになります。 盤そのものを新品に替えても、貫通部は既存のまま触ることが多いため、 「盤を替えるだけ」という感覚だと調査対象から漏れます。
非常用発電機は「排気側」を見てください
非常用発電設備も特定工作物です。発電機本体よりも問題になりやすいのが排気側で、
- 排気管に巻かれた保温材
- 消音器(サイレンサー)まわりの断熱材
- 接続部のガスケット
このあたりはレベル2にあたる可能性があります。 レベル2は除去に14日前までの計画届が必要なので、 発電機の入れ替えを短期間の停止で済ませる計画だと、届出が間に合わないことがあります。
報告が必要かどうか
- 事前調査:規模を問わず必要
- 行政への報告:工作物の解体・改修は請負金額が税込100万円以上なら必要
キュービクルの更新は本体・据付・撤去処分を合わせると100万円を超えることがほとんどです。 分電盤の部分的な交換なら下回ることもありますが、 報告が不要でも調査は必要である点は変わりません(詳しくはこちら)。
停電工事は「日が動かせない」から、逆算が要ります
電気設備の更新工事の難しさは、停電できる日が限られていることです。 土日夜間、テナントの営業時間外、年末年始——この日を逃すと次は数ヶ月後という現場が普通にあります。
| 停電日から見た連絡のタイミング | 見通し |
|---|---|
| 2ヶ月前 | ◎ レベル1・2が出ても対応できます |
| 1ヶ月前 | ○ 分析(中5営業日)+届出(14日)で、ぎりぎり間に合います |
| 2週間前 | △ 石綿が無いか、レベル3なら間に合います。レベル1・2だと届出が間に合いません |
| 1週間前 | ✗ 除去が必要になった時点で、停電日はやり直しです |
停電日が決まった時点でご連絡ください。 調査そのものは1時間かかりませんが、動かせないのは分析の中5営業日と、 レベル1・2が出た場合の届出の14日です (事前調査は何日かかるか/見つかったらどうなるか)。
盤の中は「開けてみないと分からない」場所です
図面に絶縁板の材質までは書かれていません。銘板から製造年が分かれば絞り込めますが、 過去に部品交換されていれば年式と中身は一致しません。
逆に、古い盤でも過去の更新で石綿を含まない部材に替わっていることは普通にあります。 分析で「入っていない」と出れば、撤去も処分も通常どおりで進められます。 「なかったことを証明する」のも調査の目的です。
電気工事会社・設備管理会社さまへ
盤の種類・製造年・触る範囲(盤のみか、貫通部やケーブルまで含むか)・停電予定日を 教えていただければ、対象かどうかと逆算をその場でお答えします。
機械室で電気設備と配管設備が同居している場合は、建築設備側と工作物側の切り分けから必要になります。 当社の調査者は建築物・工作物の両方の資格を持っていますので、 そこも含めてご相談いただけます。