内装・原状回復工事とアスベスト調査|床のPタイルは「接着剤」にも入っています
最終更新:2026-08-31
結論:内装・原状回復工事は事前調査の対象です。そして見落とされやすいのが床。Pタイルは「タイル本体」と「接着剤」の両方に石綿が入っていることがあり、そうなると除去の手間が一気に増えます。
テナントの入れ替え、オフィスのリニューアル、原状回復—— 「壊すわけじゃないから」と思われがちですが、既存の内装を撤去する時点で改修工事です。
内装工事で石綿が出てくる箇所
① 床のPタイルと、その接着剤
学校やオフィスでよく見る四角い床タイル。これ自体に石綿が含まれていることがあります。
そして問題はここからです。タイルを貼るための接着剤(糊)にも石綿が使われていることがあります。 接着力を高めるために混ぜられていたためです。
タイルと接着剤の両方に入っていると、手間が段違いに増えます。 タイルを剥がすだけでは終わらず、下地に残った糊まで処理することになるからです。 「床を張り替えるだけ」のつもりが、想定外の工事になります。
逆に言えば、採取そのものは簡単です。カッターで数センチ切り取れば済むので、 現地での作業は5分程度で終わることもあります。
② 天井のボード・吹付材
天井材を撤去する、点検口を新設する、照明の位置を変える——いずれも天井に手を入れます。
③ 壁のボード・仕上げ材
石膏ボード、ケイカル板、成形板。壁を壊す・穴を開ける工事は対象になります。
④ 配管や設備の貫通部
調査した方が、総額は安くなることがあります
「調査費がもったいないから、含有しているものとして扱って(みなして)進めよう」—— これは制度上あり得る進め方ですが、そのぶん処分費が跳ね上がります。
| 調査して「なかった」場合 | みなしで進めた場合 | |
|---|---|---|
| 調査費 | 数万円かかる | 不要 |
| 処分費 | 通常の廃棄物として処分 | 石綿含有廃棄物として処分(石膏ボードなら倍前後になることも) |
| 作業の方法 | 通常どおり | 石綿がある前提の措置が必要 |
| マニフェスト | 通常 | 石綿含有廃棄物としての処理 |
数万円の調査費を惜しんだ結果、処分費で数十万円多く払っていた——というのは実際によくある話です。 とくに内装解体は撤去する建材の量が多いので、単価差が効いてきます。
判断の目安は「処分する量」です。量が多い工事ほど、調査して「なかった」と証明できた時の差が大きくなります。
古い建物でも「入っていない」ことは普通にあります
石綿含有建材は2006年に製造・使用が全面的に禁止されました。 それ以前の建物は疑ってかかるのが基本ですが、現場では逆のパターンもよく起きます。
- 古いけれど入っていない:過去に改修が入っていて、既に建材が入れ替わっている
- 新しめなのに残っていた:増改築を繰り返していて、部分的に古い建材が残っている
図面や履歴だけでは判断しきれません。そして「入っていませんでした」という第三者機関の報告書が出れば、 堂々と通常の工事として進められます。「なかったことを証明する」のも調査の目的のひとつです。
原状回復は「日程が決まっている」のが難点
明け渡し日、次のテナントの入居日——動かせない期日があるのが原状回復です。
現地での採取は1時間もかかりませんが、分析機関の結果は中5営業日ほどかかります。 見積もりを作る段階でご相談いただくのが一番安全です。その時点なら、 調査費を見積もりに織り込むこともできますし、工程にも余裕があります。
すでに日が迫っている場合の対処は工事直前に忘れていた時の3つの手にまとめました。
Pタイルなどの成形板はレベル3で、計画届の対象ではないため工期への影響は限定的です。ただしけい酸カルシウム板1種の破砕や仕上げ塗材の電動工具による除去は隔離が必要になります。見つかった後の流れは調査で石綿が見つかったら、そこから何が起きるかにまとめました。
飲食店の改装で厨房まで範囲に入る場合は、排気ダクトの保温材や防火区画の貫通部も対象になります(厨房設備の更新・店舗改装)。
報告が必要かどうかも判断します
内装の改修工事は、請負金額が税込100万円以上だと調査結果を行政へ報告する義務があります。 100万円未満なら報告は不要ですが、調査そのものは規模を問わず必要です (詳しくはこちら)。
「この工事は対象か」「報告まで要るのか」の判断だけなら費用はかかりません。 建物の用途・築年・工事範囲・面積を教えていただければ、その場でお答えします。